驚異の部屋

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ひすとり!×驚異の部屋

ひすとり!とは、主にTwitter上で展開されている、歴史×エンタテイメントを意識したゆるやかなつながりの名称です。
参加者は東西を問わず史学の研究者から歴史を楽しむ一般の方まで様々。主催者がいるわけではなく、固定のメンバーが明確にいるわけでもない自由な空気の元に、突発的に歴史に関するあれこれのつぶやきがTwitterのTL上に発生します。
そんなひすとり!に関わる方々に自分の研究分野や興味対象をモノで表していただきsdtが絵にし、この驚異の部屋に展示しました。
「驚異の部屋」とは、大航海時代以降のヨーロッパにおいて、珍奇なものをジャンルを隔てず集め陳列する部屋のこと。王侯貴族から聖職者・学者などの手によって作られた「驚異の部屋」は、現在の博物館や美術館の原型でもあります。
この部屋に並べられたひとつひとつに、様々な背景があります。
どうぞごゆっくり、まだ見ぬ過去の世界へと、お進み下さい。

キャプション

ウッチェロの「聖ゲオルギウスと竜」に描かれた竜

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ウッチェロの「聖ゲオルギウスと竜」に描かれた竜

“Ars longa, vita brevis!”
「芸術は長く,人生は短し!」

その訳のせいか、よく誤解される格言です。芸術=art(英)=ars(羅)とは芸術というよりは技術のことであり、なにごとも技術を身につけるのは難しく時間がかかるけれども、それに比べて私たち人間に許された時間のなんと短いことか…というような意味です。

いまの芸術作品はとても洗練された技術を用いていたりして、ものを美しく描くも醜く描くも思いのまま、はたまた表象に固執せずに抽象を追及するも自由です。それはたいてい、作家の長い努力と練習のうえに成り立っているものですが,はたしてそれだけでしょうか。その裏には、それまでの何百年、何千年にも及ぶ芸術の歴史が隠れているのではないでしょうか。

14〜15世紀のイタリア、特に中央部は一般に「ルネサンス」と呼ばれる文化が花開いた時期です(ルネサンスなのか中世なのかは場所と分野によって意見の分かれるところですが)。このルネサンスを期に、西洋美術は大変革をとげることになります。私はこの、ちょうど画家や彫刻家たちが新しい芸術を手にしようと試行錯誤しては失敗あるいは前進してゆく時代が大好きです。三巨匠の時代、すなわちレオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの時代に比べると少し不器用、でもよくよく見ると頑張っている痕跡がはっきりくっきり見えてきます。私には、ルネサンスと共にいわゆる「人間化」されたのは単に芸術上の描写だけでなく、作家自身をも含んでいたのだと思えてなりません。

そんなわけで、イタリアにおける末期中世〜初期ルネサンスの芸術・文化を大学ですこし勉強しております。ジョルジョ・ヴァザーリの『画家・彫刻家・建築家列伝』はバイブルです。ヴァザーリになりたい。