『逢断』登場人物紹介(簡易版)

2022年にらくがきついでに簡易的に制作した登場人物紹介です。そのうちちゃんとつくりなおしたい。

◆ユエとカダ◆

ユエとカダ

 経営に失敗して傾いてる商家のぼっちゃんとその家の技芸者(舞踊手)。家を立て直すため国を挙げてやっている舞踊格闘技「逢断」の大会に出て名誉を得ようと頑張っている。

 血は繋がってないが幼少期から同じ家に住んでいる兄妹のような幼馴染。 カダは奉公先で髪結の技術を習得していて、技術維持のためもあってユエの髪をセットするのが日課。流行りを気にしている。感情的になりやすい部分があり、割と引きずる。 ユエはぱっと見華奢に見えるが一般的な同年代と比べると体力おばけ。試合に勝ちたいというより踊るのが楽しいのでずーーっとやってるタイプ。舞踊の訓練は毎日欠かさずよく食べよく眠る。腕力はカダのほうがあるが持久力はユエの方がある。思っていることを言葉にするのがあんまり得意ではない。よく泣く。


◆シャーハとクナン◆

シャーハとクナン

 逢断が行われている都市カヌーカでめちゃ偉いとされてる将軍の息子たちのうちの2人。腹違いの兄弟。兄シャーハは詩人。弟クナンは出生時父が受け入れず、母親が属していた技芸団に引き取られて育った。シャーハの思惑で逢断の大会に参加。
 クナン誕生からこの歳までろくに顔を合わせたことがない兄弟だが、シャーハが技芸団にクナンを迎えに行った時、クナンが人懐こいので爆速で馴染んだ。が、シャーハは子供の扱いがよくわかってないので端々が雑。技芸団では将軍家はクナンの母を死なせたひでえ家とクナンに教えているが、シャーハが母親のことをよく知っているらしいので色々聞きたいと思ってついてきている。あんまり教えてもらえてはいない。大会はもちろん、カヌーカは見たことないものがいっぱいあって楽しい。


◆レバムとデルハ◆
王の弟とその技芸者

レバムとデルハ:王の弟とその技芸者

 レバムは幼少期虚弱だったが身体を鍛え勉学に励み弱さを克服し、外敵・親族間の争いを経ても生き延びてきたという強力な自負があり、経験が価値判断の源である。才能のある者を尊び援助を惜しまないが、能力のない者・努力をしない者・物事をうまくやりとげることができない者を見下す傾向がある。 兄王の地位を狙うが今のところ試みは毎回阻まれており、王はレバムの意識をわかった上で適当な役職につけ飼い殺しのような状態にしている。作中具体的には描写してないけど偏頭痛持ちで肌が弱い。ストレスのせいだと思う。

 デルハはレバムの技芸者になって3年目。人と話す機会をあまり与えられていない。自暴自棄的性格が一周して阿りの気持ちゼロなのに目上の者の指示に酷く従順。従わない理由がない。踊りをやっている間だけ踊るという自分の意思を自覚できるので踊りは面白い。他はだいたいどうでもいい。


◆バラズとカカ◆
商人とその技芸者

バラズとカカ:商人とその技芸者

 バラズはカヌーカのハーリヤ人商人のうちではかなり成功している商家。ガルフ家(主人公のカダの家)の商売敵。逢断の大会は社交場なので顔を売ることが商売と直結している。広告だいじ。ガルフ家とは契約でゴタゴタして決裂するまではまあまあ交流があったので、ユエとカカは会ったこともあるし顔を知っている同士だがとくだん仲が良かったわけではない。取引のある向こうの家の技芸者、大会には毎回出てるよな〜ぐらいのニュアンス。

 カカはバラズ家は居心地の悪い家ではないが、この主人はちょっと性格がよくないよなとも思っていてルードラ(舞踊学校)に練習に行った時に愚痴って主人なしの技芸者たちに自慢だと思われウザがられている。愚痴りはするが手厚い恩恵は実際受けているので恩義は感じておりできることはなんでもやってくつもり。


◆ジフラーシュとムクリ◆
宮廷の学術顧問とその技芸者

ジフラーシュとムクリ:宮廷の学術顧問とその技芸者

 ジフラーシュは王宮にいる相談役のひとり。王の望みで新しい暦を作っている。元々違う国で天文と数学をしていたがカヌーカの侵攻により捕虜になり連れてこられた。というのが20年ほど前。知識を買われて役職を与えられている。思うところは色々あるがどんな状況でも生き延びるのが第一。逢断については「そういう文化がここにはあってとても重要」という認識。カヌーカの法と儀礼には従うが、文化の構造に翻弄させられる子供を哀れに思って技芸者のムクリを養子にした。

  ムクリは頭が良く運動神経もあるが幼さ故に振る舞いがいびつな部分が多々ある。 前の主人が理不尽の極みで「主人に仕える」ことを強めに学習してしまったため様々な部分に影響が出ており、ジフラーシュの養子になっても親子関係を「主人が望む娘というふるまい」としてやっている部分がある。実際「親子」であることがどういうことかはよくわからない。


◆ベムーダとエシュ◆
国の軍事部門の代表者とその技芸者

ベムーダとエシュ:国の軍事部門の代表者とその技芸者

 ベムーダは老齢の癇癪持ちに成り下がっているがカヌーカにおいて軍事の重要人物でかつては救国の英雄として人望を集めた。自分の言ったことには全員従って当然と思っている。なかなか引退したがらない。シャーハとクナンの父。逢断の愛好者であるが技芸者のえり好みが激しく負けた技芸者は価値が下がり自分の評価も下がるので忌むべきものと思っている。 ベムーダが選んだ技芸者の名前は「エシュ」となる。前の「エシュ」はムクリだったし、今の「エシュ」の本名はメイファ。

 メイファは偉い人に選ばれるのは名誉なのかもしれないが面倒な主人に当たってしまったなあと思っている。なんかうっかり気に入られちゃったのが意味不明で気を遣うポイントがよくわからないまま過ごしている。つとめは果たすつもりだが全方位パワハラ主人なので全然理解できない。この調子でずっとはキツイな〜と己の身の上を憂いている。


◆ニザイーとリュー◆
財務事務官と臨時雇いの技芸者

ニザイーとリュー:財務事務官と臨時雇いの技芸者

 ニザイーは職場での昇進を逢断の勝負にかけられてしまった。逢断じゃなくて仕事の出来で判断してほしいがそれはそうとして色々な意味で評価もされたい。名誉の獲得も仕事のうちだと思いはするが割り切れてはいない。

 リューはカヌーカにある技芸団に所属する技芸者で普段はいろんな見せ物をして観客を楽しませている。時々ニザイーのような依頼があって契約で逢断の大会に出る。ルードラとは違う系統の修練を積んでいるので、逢断の大会に出る時は「あ〜〜うちらとやり方が結構違うんだよな〜〜」と思いながら出る。ギャラだいじ。ルードラは芸事を教える孤児院のようなものだが、「技芸者」と呼ばれる者たちの経歴は人それぞれ。リューの両親は健在で出身地はカヌーカの外の別の町。町の祭事を担う舞踊をやる家系で踊りを習得するが私の能力はこの程度でおさまるもんじゃないんだよ!と思って大きな街に出てきた。


◆王妃とカティヤー◆

王妃とカティヤー

 王妃は自身も大会に出場する逢断愛好者。本選の後半から参加。勝ち残ってきた好みの技芸者と自分の技芸者を戦わせたいという完全なる趣味。トーナメントとは一体……となるがこの大会はそういうものなのでそういうもの。大会に参加する全ての技芸者を愛しており毎年大会期間中に自分の庭で大規模なお茶会を開き参加者の交流を促す。 王とレバムの軋轢をどうにかしたい。自分が逢断を通してレバムと交流すれば多少は事態の緩和になるのでは? と思っている。技芸者の好みは合うのに衣装の好みはいまいち合わないわねとデルハに着せたい衣装を色々贈る。

 カティヤーは他の技芸者たちより年齢が上でキャリアが長い。ほぼ王妃の侍女のような役職だが現役の技芸者で時々ルードラで教えたりもする。大会本選においてはラスボス的な面倒な立ち位置の技芸者。教える側なので自分の技能は伝えたいし能力ある者は私を超えていけと思っているが、負ける気はない。


◆スルバダムとヤガムハとニルヤ◆
二人の主人とその技芸者

スルバダムとヤガムハとニルヤ:二人の主人とその技芸者

 ニルヤはもともとスルバダムの技芸者だったがスルバダムが戦死したためその友人であるヤガムハに引き取られた。ヤガムハは踊りに特段興味はないがスルバダムが信仰とニルヤの踊りを拠り所に生きていたのを目の当たりにしているため無碍に扱えず、弔いも兼ねニルヤを伴って逢断に出場する。 ニルヤはスルバダムの元ではあまり大会には出してもらえなかった。逢断は宮廷における権力争いの一種でありスルバダムが望む力への絶対服従の所作ではないからである。一度出たが、票を得るための根回しなども心情的に無理だった。

 ニルヤはスルバダムが望んだ通り踊りを儀式として行なっている。儀式とは、行為によって意識を、惑う心を、ひとつの場所に止めおくためのものである。踊りが行われるならば、それは必ず人々の記憶に残らなければならない。そうでないならば、自分が踊る理由も、存在する理由もない。


◆シャイヌアとカシャ◆
政務官とその技芸者

シャイヌアとカシャ:政務官とその技芸者

 シャイヌアは逢断への興味というより孤児救済の制度に則ってカシャを引き取った。カシャはルードラで舞踊を習得していたので、その特技を奪ってはならないと思い大会に出ている。カシャが実の親のことを覚えていることもあり、手続き上は里親、制度上の保護者だけどカシャはうちの子だよね〜と思っているが実子が産まれたので立場の違いが明確になってしまい、カシャはナチュラルに主従として振る舞うのでちょっとどうしたものかなと悩んでいる。

 カシャは踊るのが大好きで向上心もあり前向きな性格だがルードラにいた頃にリジに理不尽にからかわれていたのがトラウマ。ルードラのリジ以外のことは好き。シャイヌア家は安心していられる場所。シャイヌア夫妻とお嬢様のことも大好き。逢断でいい成績をのこすことが家の名誉になることをわかっているので、大会は勝ちたい。


◆ミクラウとリジ◆
グラジャッドの外交官とルードラの技芸者

ミクラウとリジ:グラジャッドの外交官とルードラの技芸者

 ミクラウはカヌーカにグラジャッドへの併合交渉にきた大使団の一人。グラジャッドとは、グラジ人による精神的経済的共同体のようなもので、厳密には「国」ではないが行政機関として機能し「我々」と「そうでない者たち」を区分け「我々のための活動」をするので国のような振る舞いもする。便宜上王がいるが合議制任期付き役職。 グラジャッド側としては、グラジ人がいるところはグラジャッドだしカヌーカがあちこちに侵略をしかけているのが迷惑なので抑え込みたい。ミクラウ自身は生まれは別だがカヌーカに親族も多いので土地の事情を知っているとされ大使団の一人として派遣されている。カヌーカに対する思い入れは特にない。子供と老人が嫌いだがコミュニケーション能力が馬鹿みたいに高いため問題にならない。頑張ってボロが出ないようにしているのではなくナチュラルに人とのやりとりが得意。併合交渉を進めるために、逢断の大会に参加して機会を伺う。

 リジはルードラの技芸者。身体能力が高く思ったことは何でも言い自信がある。逢断はハーリヤ人の文化であり競技であると同時に人付き合いと接待であるため技芸者は見た目で選ばれることが多い。グラジ人の技芸者という物珍しさを面白がられることはあっても主人を得ることは今まで一度もなく、競技の強さをルードラの外から評価されることがなかった。自信はものすごくあるが「自分はちゃんと見てもらえないし選ばれない」を拗らせている。


◆フォムドとリリ◆
政の首長とその技芸者

フォムドとリリ: 政の首長とその技芸者

 フォムドはカヌーカの官僚機構の偉い人。かなり暴力&血縁で解決する(してない)傾向のあるハーリヤ人の文化習俗を考慮しつつ国家の体裁、ガワや仕組みを築くことに人生を費やした。以前は宰相という立場だったが年齢を理由に引退した、はずだったが結局王に意見を求められたりなんなりで引っ張り出されて統括的な役職をつけられなんだかんだずるずる働いておりきっちり引退できていない。むしろ以前より立場が強くなる勢い。引退したいと口では言いつつごりごりに働いてしまっていて周りも口出ししづらい。軍事の偉い人のベムーダとは昔から折り合いが悪い。 逢断の愛好者ではないが、逢断には宮廷・国の運営・政治活動上での強い影響力があり狙い通りに試合を運ぶ(仕組みの)必要があるため、割と注力している。

 リリはもともとレバムの運営する舞踊学校の選抜技芸者のひとりだったがレバムがフォムドの娘と結婚する際、返礼品としてフォムドに贈られた。「リリ」はフォムドの付けた名前で本名は別にある。

・ リリは漫画本編初期からフォムドに付帯してちょこっとずつ出てるんだけど、人物像についてはまだ特に描いていないので今後本編で彼女にピンが当たる回までお待ち下さい。


◆カヌーカ・ハーリヤ人の王◆

カヌーカ・ハーリヤ人の王

 逢断が行われている都市の王。 この国、というよりカヌーカの宮廷を築いたハーリヤ人たちの信条は「最も強き者を王とせよ」で下克上の作法が肯定される文脈で確立しておりまあまあの頻度で身内の殺し合いがあり「経験上良いものではなかったのでどうにかした方がいいな」と思って慣習の改革を行おうとしている。とはいえ強さを尺度にした今までの文化・価値観によって現在の権力があり立場の恩恵を受けている張本人ではある。

 王の名を冠する逢断の大会は伝統ではあるが現状ほぼ王妃のために行っていて自身が技芸者を持つことはない。

 グラジ人はカヌーカにハーリヤ人の王がいることを「自分達の王」とは思っていないが、「国」という枠組みによってもたらされる都市の繁栄自体は喜んで受け入れている。


◆ミーガとアーシア◆
カヌーカの護衛管理職と王の妹

ミーガとアーシア:カヌーカの護衛管理職と王の妹

 王、レバム、アーシアはみな母親が違う。
 アーシアは2年前にカヌーカに近い都市の領主の元に後妻として嫁いだが夫がすぐに事故死したためアーシアが城主となった。先妻の子供たちがおり、むしろそちらと歳が近く関係はすこぶる良好で協力しながら治めている。現在は銀山の利権で揉める他都市の仲介のため(という名目で利権を奪ってくる仕事で)出張し、報告のためカヌーカに戻ってきたところ。兄たちの関係の悪さなどもあり正直なところカヌーカは居心地がよくない。はやく自分の城に帰りたいがまだ色々仕事の後処理やら何やらがあるのでカヌーカにとどまっている。

 ミーガはカヌーカにおいて軍事の一番偉い人であるベムーダの息子。シャーハ&クナンの兄。 普段はカヌーカに常駐する護衛部の管理職をしているが、出張するアーシアの随伴に信頼できる人物をということで指名され銀山で起こった紛争状態を収束させる目的のため軍隊を引き連れ行って帰ってきたところ。 若年の頃からシャーハと共に、王、レバム、アーシアと交流があった。ヒエラルキーに絶対服従という仕草が刷り込まれているので、多少の理不尽は耐えてしまうほう。父親の女癖の悪さ・逢断にのめり込んで泥沼などの諸々の面倒事を目の当たりにしているため逢断や踊りの文化そのものが嫌い。
 昔はアーシアに乗馬や弓を教えたりもしたがここ数年は全く交流がなく、今回の出張で久しぶりに雑談できる距離感に戻った。


◆ルフカとユカ◆
カヌーカ宮廷の内務調整役とその息子

ルフカとユカ:カヌーカ宮廷の内務調整役とその息子

 ルフカはベムーダの息子、シャーハ&クナン+ミーガの兄。他の兄弟とは母親が違う将軍家の長男。立場的には老齢の父親の代理だが戦場に出て戦うタイプではなく政治屋。父の英雄譚を聞かされると共に横暴ぶりを見て育っていて、自分が父親とそっくりらしいということを若い頃はまあまあ悩んだが親の七光りをフル活用していくうちに別に悩むことじゃないなとどうでもよくなった。宮廷内の権力のバランスの悪さを改善したいがじじいどもがまだ現役なためしばらくはどうにもならんなと思っている。
 逢断は接待。必要な付き合いだし権力争いなので見ることには見ており、それなりに詳しいがべつに好きではなく仕事。

 ユカはルフカの一人息子。軍事の学校で士官候補として研鑽を積んでいる。祖父が英雄、父や叔父は偉い役職付きということに誇りを持っており自分の進む道に疑問がない。


◆エズメム技芸団◆

エズメム技芸団

 踊り・音楽・芝居・大道芸・見せ物の興行団体。クナンの育った場所。クナンの応援にカヌーカに来ているのは小隊で、本隊が別にある。都合によって本隊に合流したり分隊したりする。去る者は追わず、来る物は拒まずの生活共同体でもある。構成員の出入りは常にあるが、全体でだいたい80人ぐらいいる。ちょっとした村。興行のため色々な場所を巡っている。カヌーカは比較的外来の芸能・技芸者に理解のある都市だが、胡散臭い余所者の犯罪者扱いをされることも多い。

 エズメム技芸団は色々な地域の人間達の寄せ集めなため、様々な言語が入り乱れており、言語を跨いで意思疎通に便利な表現が共有され独特な言葉遣いが発生している。各人が各々の母語の他共通語を習得しているので、どこの街へ行ってもまあまあ大丈夫。エズメム生まれの子は言語ちゃんぽんになるため生きてく上での必要から共通語をしっかり教わる。


◆アレシとカーリ◆
舞踊学校ルードラの選抜技芸者

アレシとカーリ:舞踊学校ルードラの選抜技芸者

 アレシは物心ついたぐらいの時に、カーリは生まれて間もない時に孤児になった。身体能力を見出されてルードラに入り、舞踊を学び、能力目覚ましく選抜技芸者となる。選抜技芸者になると各種の行事等ハレの場でお仕着せを纏って作業をしたり舞踊を披露したりする仕事をする。人前に出る機会が増えると逢断に熱心な主人に選ばれる可能性も高まる。技芸者は財産として扱われるので、贈呈品とされたり交渉材料として取引されることも多い。 アレシはそういう自分の身の上にうんざりして自分で自分を救おうとしているが、カーリは他の生き方を知らない。

 2人とも、リジと長いこと生活を同じくしているのでリジのウザがらみには慣れているが、「やっぱお前もうちょっと人の話を聞けよ」とは思っている。リジの行動や性格が発端の割とガチめの喧嘩はデルハも巻き込んで時々しているので、他の生徒からは「またあいつらか」と思われているし先生からは毎回毎回めちゃめちゃ心配されてしっかり怒られている。


◆キアー◆
レバムの妻、フォムドの娘

キアー:レバムの妻、フォムドの娘

 キアーは自分の立場をわきまえている。どう振る舞えばどういう影響が出るかわかってキアーを生きている。あまりにも制限された人生で、自分を見失わないでいるために、いないことにならないために、他にどうすればいいのか?


◆サファル◆
行商人

サファル:行商人

 家が伝書鳩屋を営んでいる行商人。または買い付け代行業。伝書鳩屋はカヌーカ/グラジャッド圏内にいくつかの支店があり、行商をする傍、伝書鳩の運搬もしたりする。 カダの幼馴染。商人達が出資して作った商売人のための寺子屋的な学校があり、カダもサファルもそこで読み書き計算を学んだ(ユエは踊りの先生のほうで勉強している)。記憶力が良く人の顔と名前を覚えるのが得意。子供の頃はユエカダと一緒に遊んでいたので、自分の感覚的には上下関係はないが、ユエとカダがだんだん技芸者と主人、となっていくのを不思議な気持ちで見ている。


◆ジッドとエイリャ◆
ガルフ家の番頭と従業員

ジッドとエイリャ:ガルフ家の番頭と従業員

 ガルフ家は卸・流通が主な事業の商家である。取り扱いは高級嗜好品が多いが農産物と加工品もやっている。物流の中継地点でもあり隊商がとどまれるだけの規模の施設があるがカダたちの生活空間はさほど大きくはない。ほぼ事業設備。カダの父親がユエを引き取り逢断に参加するようになってから、逢断に関わる物品の小売も始めた。

 ジッドはカダの父親が若い頃からガルフ家に勤めているので最盛期も衰退も全部関わっており、今の状況ももっとなんとかなるはず、必ず盛り返す、と誓って働いている。

 エイリャは丁稚奉公から入ってそのまま従業員になり働いている。ユエとカダにとっては面倒みてくれるお兄ちゃんみたいな立ち位置。ユエもカダもちびっこの頃は今より機嫌が上下しやすく混沌を生み出すぼっちゃんおじょうちゃんだったのが今では2人で逢断に出ているので成長ぶりを感慨深く思っている。


◆ユエの踊りの先生◆

ユエの踊りの先生

 自身もかつては逢断の技芸者だったが教える側にまわり今に至る。当時主人だった人はとっくの昔に鬼籍に入っているが舞踊の教室をバックアップしてもらったことを感謝している。

 昔、逢断の技芸者は孤児から選ばれてなる類のものではなく、志望する者が技芸団に所属してそこから選ばれることのほうが主流だった。逢断は余興や祭りで行われるのが中心だったが大会の仕組みが出来上がり盛り上がるにつれ、継続的な「試合のための技芸者」の供給が必要になり「学校」ができた。カヌーカの孤児の技芸習得のシステムができ主流になったあたりで技芸者の商品化が著しくなる。
 先生の現役時代にはすでに大会もルードラもあったが今ほど大掛かりで専門性のあるものではなかったので、時代の変遷を身にしみて感じている。 ユエの場合のように地元の名士の技芸者や子供の習い事として教えるパターンもあるが、古い付き合いで様々な技芸団との交流が今もあり遠方から踊りを習いに来る者もいる。
 ユエとカダにとっては信頼できる大人、保護者的な存在でもある。子供が二人いるが、舞踊とは関係ない職についている。


◆ルードラの先生◆

ルードラの先生

 舞踊教師。自身も技芸者だが主人つきにはならず、舞踊の教師になった。王妃の技芸者であるカティヤーと同期。 踊りで生きていくことの困難さを常々思うが、それでも、踊りを知っていることが、人が生きる上での良き糧となるはず、と祈っている。

 ルードラには各種の舞踊のほかに音楽、詩、数学、哲学、歴史などの基礎教養を教える教師がいる。踊りは踊りだけでできていない。仕組みがわからなければ、何かを望むこともできないし自分が何をしているのかもわからない。満足に踊るためには学ばなければいけない、という思想がある。


◆測量技師◆

測量技師

 ジフラーシュの教え子。逢断の愛好者というよりムクリのファン。人生がどんづまっていた時にたまたま見た逢断の試合に出ていたのがムクリで、あんな小さい子がすごいことをしていると感銘を受けてメンタルが改善し人生が変わった。仕事で遠征している間にムクリが引退してしまい、最後の試合を観られなかった事実を受け入れられない。
 推しに認知されたくないタイプのファンだがムクリは自分の先生の養子だし割と会う確率が高くて心臓に悪い。ムクリに会っても興味ないふりをしてやや距離をとっている+背が高い成人男性なので、ムクリからはなんとなく怖い人と思われている。 親戚の子を徒弟として預かっている。 ムクリに遭遇するのをビビるあまりジフラーシュに用がある時は弟子に伝言を頼みがち。弟子は、師のことを「お世話になってるし色々教えてもらってはいるけどちょっとだめな時がわりとある大人」と見ている。


◆逢断の予想屋◆

逢断の予想屋

 逢断の大会時期に勝敗を予想したり勝敗賭けに狂っている者たち向けの情報売買をやっている。カヌーカ市民の大多数は逢断の大会の観戦をすることはなく、逢断のことは詩人が語るか予想屋が語るかしているのを聞いて知る。本業は医者。ヤブ寄り。
 大会の観戦は出場者が知り合い関係に配る招待札を持っていないとできない。予想屋はなんがしかのツテやコネで招待札を得ているが、人間関係を失敗して招待札を貰えなかった時が過去にある。詩人のフェイジは余らせるほど招待札をもらっているというのを知り、拝み倒して融通してもらったことがフェイジと知り合ったきっかけ(大会出場者は詩人に自分の技芸者についてを語ってもらいたいので、招待札を詩人に配る) 。
 予想屋は勝敗予想はするが自分は賭け事はしない。純粋に舞踊としての逢断が好きだがそれを上回る勢いで宮廷ゴシップが好き。勝敗予想は当たったり外れたりするのものなので実際はほぼ意味がないが皆で一喜一憂するのが楽しいのだ。逢断の試合を全部記録する公務員であるところの書記官ダーシーともうっすら顔見知り(フェイジつながり)。ゴシップ好きなせいでダーシーにはなんとなく嫌がられているなあという感覚はあるがあまり気にしていない。


◆ダーシー◆
逢断の記録書記官

ダーシー:逢断の記録書記官

 文化芸術担当の文官。カヌーカでは逢断の大会が政に組み込まれているため記録が必要で、逢断の書記官と呼ばれる人が複数おり試合を見て記録している。ダーシーは現在の逢断記録チームの中では古株のほう。試合を見て・理解して・記録しなければいけないという性質上、逢断参加者動向=宮廷の人間関係にも妙に詳しくなってしまい、宮廷内政治の参考に意見を聞かれることがよくある。本人的には仕事なら仕事でいいけど、勘ぐり合いに巻き込まれるのはめんどくせえなあと思っている。
 フェイジとは逢断の会場で「こいつどんな試合でも毎回いるな?」と気づいて気になって声をかけたのが知り合ったきっかけ。職務でもないのに試合を全通する勢いで見ている奴がいると思っていなくて驚いたがほとんど見ているが故に意見交換しやすく気付けないことも知れるので付き合いを続けている。


◆フェイジ◆
詩人

フェイジ:詩人

 逢断の愛好者。 踊りを見ることと詩を詠うために生きている。パトロンが何人かいる。活動を支援してもらう代わりに逢断の試合の動向を語り、各種の詩の謹呈、書の代筆、様々な詩や物語を吟じ、代弁し、人と縁を繋ぐ。高級官僚の息子なので生活に困ったことはない。
 シャーハとは学友だった。昔は仲がよかったのに今は避けられているのが心外。 代弁者としての能力が高く、人が思うこと望むものを理解して言葉にできる。 シャーハに言わせれば、他人の想いを「自分の言葉」にしてしまうところが傲慢。フェイジとしては、多くの人は己を表す言葉を持っていないから僕が必要とされているのに? 何も悪いことはないじゃないか、と思っている。 詩と踊りの会主催者。自分がいいなと思う詩人と技芸者を呼んで詩と踊りの公演を定期的にしている。父も逢断愛好者でユエの踊りの先生とはフェイジが幼い頃からの家ぐるみの付き合い。ユエカダとも先生を介しての知り合い。